Tortoise Garden

亜種、知りたいなぁ


 リクガメを語る時に、かならず話題になるのが“亜種”についてだ。私が
飼育しているギリシャリクガメとロシアリクガメにも数種類の亜種が存在し
ていることは、書籍やWebで読んだ。しかし、研究者によって完璧なフィ
ールドワークが実施されているわけではないので、今一歩すっきりする結論
は出ていないようだ。「これまでは、同じ種の亜種同士だったのに、最近、
別種と考える動きもある。」というように、研究者レベルでは、亜種の変更
議論も出ている。おまけに日本では、亜種の呼び方もいい加減なので余計に
混乱する。

 ギリシャリクガメは学名で“Testudo Graeca”と言う。そのギリシャリク
ガメの亜種には、基亜種である“Testudo Graeca Graeca(グラエカ種)”
や“Testudo Graeca Ibera(イベラ種)”などという亜種がいる。それらの
亜種は、私が想像するに、棲息しているエリアの気候に適合して進化してき
ているので、観察された場所と亜種がある程度一致するのではないだろうか
?と思っているのだがどうだろうか?。だから、WC個体(野生の個体を採
集したもの)を採集した場所やCB個体(飼育下で繁殖させたもの)の親の
産地を参考に飼育形態を考えられるだろう、と思うのだ。もちろん、仲のい
いカップルを見いだして、繁殖させるのも、もちろん、同じ亜種同士がいい
に決まっている。
 がしかし、この日本でいう亜種というのが、いまいち信憑性がない、と私
は感じている。確固たる自信があるわけではないのだが、ブリーダーと称す
る人やショップの人と交流すればするほど、そう感じてしまう。ギリシャリ
クガメが、ほとんど場合、現地の業者(?)が採集した個体もしくは、ヨー
ロッパを中心とした海外で繁殖させた個体が複雑な輸入ルートで日本へ輸入
されてくるので、本当に採集した場所や親の産地が途中で書き替えられてい
ても知る由もないし、情報が正確に伝わらないことくらい、どこにでもある
話である。また、こんなことも思っている。ギリシャリクガメの学名は
“Testudo Graeca”ここまでしか書かなければ、誰が読んでも“グラエカ種
”となってしまう。亜種も含めて、“Testudo Graeca Ibera”と書けば、「
ああ、イベラ種だなぁ。」と納得する。でも、“Graeca”という文字はある
から、この書き方でも詳しく知らない人が読めば“グラエカ”と読んでしま
うかもしれない。ということで、学名というのはまぎらわしいのである。
 書籍などに、「リクガメを繁殖させる場合は、同じ亜種同士で。」という
ことが書いてある。まず、ここが難関なのである。おまけにこの同じ亜種同
士であり、雄、雌と都合よくカップルになれる個体を探すとなると、かなり
至難の技だ。実際に私もネットで日本中のショップを探し回ったが、雌の個
体を発掘するのは、なかなか難しい。なぜだか知らないが、日本いは、雄の
ギリシャリクガメばかりが流通しているのではないか?と思うくらい雌が見
つからない。「日本で繁殖されたら、海外の業者が儲からないので、日本に
は雌の個体は輸出しないのだ。」と推測する人までいる。こればっかりは、
私自身がペット業界にいるわけじゃないので、確認のしようもないのだが。

 ロシアリクガメも例に漏れない。ギリシャリクガメよりもさらに曖昧な亜
種の区別があるようだが、私の調べた低レベルでは、なんとも言い様がない
。ただ、ペットショップなどの情報をまとめると、私の知る限り、以下のよ
うな産地がある。アフガニスタン産、ウズベキスタン産、ロシア産、エクア
ドル産、アメリカCB、国産CB・・・。これまた、どれが正しくて、どれ
が間違っているのかわからない。はっきりしているのは、埼玉のA氏宅で昨
年誕生した国産CBのみ(私の知る限り、ロシアリクガメの繁殖を国内で成
功させた人は、この方ともう一人。でも、後者の方の個体は画像など未確認
)である。

 それでも、やっぱり飼育下とはいえ、男やもめ一匹よりも、夫婦でのんび
りとリクガメの人生(亀生?)を生きて欲しいので、同じ亜種同士を引き合
わせてあげる努力はしなければならないと思う。その成果は、国産CBの赤
ちゃん誕生というカタチでしか証明されないのかもしれないが。

 亜種を見分ける手法を確立することは、リクガメも人間も幸せにしてくれ
ることだと思うのだが・・・。


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